2008年2月号の補足

1 対角線の本数
2 正多角形の総延長
3 対角線の交点
2 対角線の芸術
3.データファイルのDownload


1.対角線の本数

 正n角形の頂点の対角線は,ひとつの頂点から (n-3) 本でているから,のべ (n-3)×n 本ある。しかし,これは対角線を2回ずつ数えているから,対角線の本数は n(n-3)/2 本

正n角形の対角線の本数
 n(n-3)/2 本

2.対角線の総延長

以下では,正n角形は半径1の円に内接しているとする。
ひとつ頂点から出ている対角線(辺も含めて)は n-1 本あるが,これらの長さの和は,θ=π/n とすれば,
  2 { sinθ+sin2θ+sin3θ+ ・・・ +sin(n-1)θ}
であるから,対角線の総延長Lnは,
  Ln = n { sinθ+sin2θ+sin3θ+ ・・・ +sin(n-1)θ}
で与えられる。
これの和は,各項に2sin(θ/2) を掛けて積和公式を適用すると,
  2Ln sin(θ/2) = n { cos(θ/2) - cos((n-1/2)θ) } = 2n cos(θ/2)
したがって,
  Ln = n /tan(θ/2) = n / tan(π/2n)

半径1の円に内接する正n角形の辺を含めた対角線の総延長
 n / tan(π/2n)
ちなみに,対角線の長さの2乗の和は,非常に巧妙かつ簡単に求めることができて,
  n2
である。

3.対角線の交点

正n角形の対角線の交点の総数を求めるのは,一般には非常に難しい。
ただ,nが素数の場合,3本以上の対角線が同一点で交わることがない。また,4つの頂点を選ぶと2本の交わる対角線を引くことができるから,対角線の交点の個数は,
  nC4 = n(n-1)(n-2)(n-3)/24 個
ある。

nが素数の場合の対角線の交点の個数
 n(n-1)(n-2)(n-3)/24

一方で,nが偶数の場合には,3本以上の対角線が交わるような点が多くある。下図は,正30角形の頂点を左回りに進む点Pと右回りにPの2倍の速さで進む点Qを結んだものである。3本の対角線が1点で交わっているのは偶然ではなく,偶数角形ではかならず成立する性質である。
途中図 図のクリックでアニメ 完成図

4.対角線の芸術

 正多角形の対角線を正確に描くと,きれいな模様が得られる。
頂点の個数が十分に大きければ,対角線をそのまま描いても結構美しい。
正23角形の対角線を糸で作ったもの
(図のクリックで拡大)
左の作品を斜めから見たもの
(図のクリックで拡大)
正18角形の対角線
(図のクリックで拡大)
正30角形の対角線
(図のクリックで拡大)

また,対角線をすべて引くのではなく,規則性をもって引くと,包絡線模様がみえてこれも美しい。
下図は,正n角形の頂点を同じ方向に一定の速度比で進む2点P,Qを結んだものである。

PとQの速度比 1 : 2 速度比 1:2 完成図 1:3 2:3



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