2007年10月号の補足

1 座標のスケールと放物線の係数
2 背景写真を拡大縮小する
3.データファイルのDownload


1.座標のスケールと放物線の係数

 噴水の写真をGRAPESんの背景に貼り付けて,噴水のカーブが放物線であるのを確認する。楽しい作業であり,授業で使えば生徒も喜ぶだろう。座標原点を噴水の頂点に重ねると,放物線の方程式は y = ax2 になるのが確認できる。ここで,係数aの値には,どのような意味があるのだろうか。
 結論から言うと,aの値には元の噴水の性質を示すどんな意味も含まれていない。一般にGRAPESの背景に曲線の写真を貼り付けて,その曲線にぴったり重なるようにGRAPESで曲線を描くとき,その方程式は座標軸の位置とスケールに依存する。
 スケールと言うのは座標の目盛り幅のことである。ここで話題にしている噴水では,噴水の頂点に座標原点を重ねるので,座標軸の位置は固定されている。だから,座標のスケールだけが問題になる。

元のスケール スケールを2倍にした
 そこで放物線について座標スケールを変えるとどうなるかを調べてみよう。
 例えば,座標スケールを2倍にとる(つまり,目盛り2を1にする)と,同じ位置の点でも座標 ( x , y ) は ( 2x , 2y ) になる。そこで新しい座標を ( X , Y ) とすれば,x = 2X , y = 2Y が成り立つ。これを放物線の方程式 y = ax2 に代入して Y = 2aX2 を得る。つまり,
   放物線では,スケールの変換 → 2次の係数の変化
である。

 このように,噴水を与える放物線の2次の係数は座標のスケールに依存することがわかる。一方,座標スケールを変えると,同じ方程式のグラフであれば,相似形に拡大したり縮小したりする。このことから,係数の異なる放物線は相似であるという結論を得る。 


2.背景写真を各代縮小する

 座標軸のスケールの変化と言うのは,結構難しい。そこで,本文では,面倒な計算は避けて,相似という性質に焦点を当てて直感的に説明するようにしている。
 一方で,座標スケールを変化させる代わりに,背景写真を2倍にしたり1/2倍したりする方法も考えられる。
 まず,3枚の写真を用意した。これらは,ひとつの写真を2倍に拡大したものと1/2倍に縮小したもので,画像サイズが800×800ピクセルになるようにしてある。すなわち,拡大した写真にはトリミングをかけ,縮小した写真には周囲に空白部分を入れてサイズを揃えた。GRAPESには背景を指定した大きさに拡大したりする縮小したりする機能はないので,この操作は画像処理ソフトで行った。


これら写真を背景に貼り付けて,放物線を重ねたものを次に示す。

 これは,元の写真を2倍に拡大した写真 funsui_L.jpg を背景にして放物線を重ねた。
方程式は,y = -0.075 x2 である。
 これは,元の写真 funsui_M.jpg を背景にして放物線を重ねた。
方程式は,y = -0.15 x2 である。
 これは,元の写真を1/2倍に縮小した写真 funsui_S.jpg を背景にして放物線を重ねた。
方程式は,y = -0.3 x2 である。

放物線の相似を示すには,(スケールを変えるよりも)この方がわかり易い。画像の処理が必要ではあるが。

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