11月号の補足

  1. 定点と直線上を動く点を結んだ線分の垂直二等分線が描く包絡線
  2. 定点と円周上を動く点を結んだ線分の垂直二等分線が描く包絡線(その1)
  3. 定点と円周上を動く点を結んだ線分の垂直二等分線が描く包絡線(その2)
  4. 点といろいろな曲線上を動く点を結んだ線分の垂直二等分線が描く包絡線
  5. データファイルのDowload

1.定点と直線上を動く点を結んだ線分の垂直二等分線が描く包絡線

 直線群や曲線群に接する曲線を包絡線といいます。
定点Aと直線上を動く点Pを結んだ線分の垂直二等分線を描いたとき,その包絡線は放物線になります。

 理由は,次の通りです。放物線の定義は,『 c≠0 として, xy平面上の定点A( 0 , c ) と,直線 y = -c から等距離にある点Qの軌跡』です。
右の図では,点Qは線分APの垂直二等分線上の点ですから,

AQ = PQ ・・・@

を満たします。よって@を満たす点Qに接する曲線は放物線となりま
定点A( 0 , c ) を放物線の焦点,直線 y = -c を準線といいます。
このときの放物線の方程式は,@式より

√( x2 + ( y - c )2) = | y + c |

両辺を2乗すれば,

x2 + ( y - c )2 = ( y + c )2

これを整理して

x2 = 4cy  または, y = x2/4c

 例えば c = 1 のとき,A( 0 , 1)に対する放物線は, y = x2/4 となります(上図参照)。 (nitoubunsen_chokusen.gps→ページ最下部へ
定義から,四角い折り紙を使って,放物線を描くことができます。関連する説明が下記URLにありますので,一度ご覧下さい。
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~tomodak/quadratic/reflect/reflect.html


2.定点と円周上を動く点を結んだ線分の垂直二等分線が描く包絡線(その1)

 動点Pを直線以外の曲線上を動くようにしてみると,どんな曲線が描かれるでしょう。

ファイルの作り方

 本文中で作ったファイルを適当に名前を付けて保存しておきます。
点Aのプロパティを開き,座標をパラメータを使わずA( 0 , 1 ) と数値にし,さらに[ドラッグ]をチェックします。こうすると,点を自由につまんで(ドラッグして)動かすことができます。
 点Pは,円周上を動くようにします。データパネルの「曲線」エリアの作成から図形名Pを選びます。プロパティ画面が表示されるので,[媒介変数表示]を選びます。プロパティ画面のPの座標表示窓をクリックします。
 関数電卓が表示されるので,[関数3]のタグをクリックして,[roll( t ) ]と入力して[定義終了]をクリックします。roll( t ) は,(cos t , sin t)を表し,中心O( 0 , 0 ),半径1の円を描きます。再びプロパティ画面が表示されるので,曲線と点の色と太さを選び,ラベルは適当な場所を選んで[OK]をクリックします。円の中心Oを「基本図形」の中から[O( 0 , 0 )](最後の方にあります)を選んで打っておきましょう。
 今回は目盛り/軸表示ボタンを何回かクリックして,座標軸や目盛りを消しておきます。
 点Aをドラッグして,円の外側で自由に動かして,垂直二等分線を描いてみましょう。点O,Aを焦点とする,きれいな双曲線が現れます。(nitoubunsen_en.gps→ページ最下部へ

双曲線になる理由

 円の外側の定点Aと円周上を動く点Pを結んだ線分の垂直二等分線を描いたとき,その包絡線は双曲線になります。
 理由は,次の通りです。双曲線の定義は『平面上で,2定点F,F'からの距離の差が一定である点の軌跡』です。

 右の図で,点Sは線分APの垂直二等分線と直線OPとの交点です。点Sは,点Oと点Aからの距離の差が,常に半径OPに等しくなることが分かります。
(nitoubunsen_en.gps→ページ最下部へに,説明用の直線を表示・非表示するボタンを入れておきました。)


3.定点と円周上を動く点を結んだ線分の垂直二等分線が描く包絡線(その2)

 さらに点Aを円の内側にドラッグして動かしてみましょう。パラメータt を動かすと,今度は楕円が現れます。画面を拡大して見てみるとよいと思います。(nitoubunsen_endaen.gps→ページ最下部へ
 丸い折り紙を使って,放物線を描くことができます。関連する説明が下記URLにありますので,一度ご覧下さい。
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~tomodak/quadratic/reflect/reflect.html


4.定点といろいろな曲線上を動く点を結んだ線分の垂直二等分線が描く包絡線

描き方について

 2点A, Pを結ぶ線分の垂直二等分線をGRAPESで描くには,

  1. 垂直二等分線の方程式を求めて描く。
  2. 陰関数で | AX | = | PX | もしくは,AX2 = PX2 として描く。
  3. 中点Mを通り線分APに垂直な直線を描く。

の3通りあります。この中で1は方法としては分かりやすいですが,方程式を求めるのが面倒です。2や3は方程式を求める必要がありません。また,描画速度は,2→1→3 の順で速くなります。
ここでは,11月号本文の後半で使ったのと同じ3の方法で描くことにします。

点Pをいろいろな曲線上で動かして,遊んでみましょう

点P( a(t-sin t) , a(1-cos t) ) サイクロイドの上を動かしたとき
(サイクロイド.gps→ページ最下部へ



点P( t , at2 ) 放物線の上を動かしたとき
(放物線.gps→ページ最下部へ



点P( a cos t , b sin t ) 楕円上を動かしたとき
(楕円.gps→ページ最下部へ


5.データファイルのDownloadなど