6月号の補足

1.噴水の写真にグラフを重ねる
2.放物線,双曲線,懸垂曲線
3.データファイルのDownload


1.噴水の写真にグラフを重ねる

右図は,「数学教育」6月号の本文に掲載したものと同じものです。噴水と放物線がよく重なっています。右端の方では,噴水が放物線から離れていきますが,これは空気の抵抗によるものです。(噴水0.gps→ページ最下部へ

噴水の水束が乱れなければ,空気の抵抗の影響は無視できるはずですが,そのような噴水を簡単に作ることはできません。
左の図は,大阪梅田の地下にある噴水です。この噴水は水束がほとんど乱れません。ただ,残念なのは,この噴水は持続的に出ているのではなく,パルスのようにごく短い時間だけしか噴射されません。
そのために,これを(シャッタータイムラグの長いコンパクトデジカメで)撮影するのは困難で,結局手ぶれの写真が何枚か撮れただけでした。

その苦労して?撮影した写真にグラフを重ねてみました。(噴水2.gps→ページ最下部へ
画像は鮮明ではありませんが,噴水と放物線が完全に一致していることがわかります。

2.放物線・双曲線・懸垂曲線

 放物線と双曲線・楕円は,2次曲線あるいは円錐曲線として,同じ仲間の曲線として扱われています(参照:2次曲線ランド)。 そして,見かけ上ほとんど放物線のような双曲線というものも実際に作ることができます。

 右の写真は愛知県一宮市にある138タワーですが,実はこれ,双曲線です。ほとんど放物線にしか見えませんね。実際,離心率は1.02ですから,数値的にもほとんど放物線です。これに,双曲線のグラフを重ねてみたのが右図です(タワー.gps→ページ最下部へ)。ちなみに,反比例のグラフとして知られている直角双曲線の離心率は,およそ 1.41 ,放物線の離心率は,正確に 1.00 です。

 ところでもうひとつ,放物線に似た形として懸垂曲線(カテナリー)があります。両端を固定した紐がぶら下がる形です。
 これが放物線でないことは,実際に放物線を重ねてみるとはっきりします(カテナリー.gps→ページ最下部へ)。

 懸垂曲線は,双曲線関数 cosh(x) = (exp(x)+exp(-x))/2 で表されます(カテナリー.gps→ページ最下部へ)。これは,力の釣り合いから求めることができますが,紐の位置エネルギーの総和が最小になることからも求めることができます。

 吊り橋のケーブル形状も懸垂曲線であると言われています。実際,床の重量がケーブルの重量に比べて無視できるような場合,ケーブルの形状は懸垂曲線になります。一方,水平の重い床を持ち,ケーブルの重量が床の重量に比べて無視できるような場合,ケーブルの形状は放物線になります。(参照:2次曲線ランド
放物線を重ねました 双曲線関数 cosh のグラフを重ねました

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